日本を狙う核ミサイル
広島・長崎に落とされ、20万人以上の命を奪い、その後たくさんの方が後遺症に苦しめられた核兵器。世界には1万3000発以上もの核兵器が存在する。しかも、核兵器を保有している国の中には日本を敵とみなす国家もある。中国、ロシア、北朝鮮だ。
特に中国は日本に対し、約2000発もの中距離弾道ミサイルを配備しており、いつでも発射可能だ。しかも、中国では「日本が台湾有事に武力介入すれば、中国は日本を核攻撃すべき」という動画が拡散しており、中国共産党政府は黙認している。政府公式の声明ではないものの、事実上日本を核で恫喝しているのと同じだ。
日本が核兵器禁止条約に批准しない理由とは
2021年1月に核兵器禁止条約が発効されたが、被爆国である日本が入っていないのはなぜだろうか。それは、日本に対する核の脅威に対し、アメリカの「核の傘」と呼ばれる核の抑止力に依存せざるを得ないからである。
もし核兵器禁止条約に批准してしまったら、アメリカの核の抑止力を否定することになり、安全保障上のリスクが増大してしまうことになる。
条約には50カ国が批准したが、日本のような核の脅威にさらされている国はない。
核兵器は本当に廃絶できるのか
そもそも、なぜ核兵器を開発し、保有しようとするのだろうか。それは、保有することで、外国からの攻撃のリスクを減らすことができるし、その核兵器の力によって外交を有利に進めることができるからだ。
北朝鮮が制裁を受けながらも必死で核開発をする理由がわかるだろう。そんな国家にとって大事な核兵器をそう簡単に手放すはずがない。
しかも、戦闘機等の新型兵器の開発に比べて極めて低コストで製造可能だ。北朝鮮のような貧しい国でも作ることができる。なにしろ70年以上前の古い技術なのだから。
みんなで核兵器やめましょうと言って核兵器禁止条約を作っても、核の技術が存在し続ける限り、約束を破る国が絶対現れないという保証はない。どこかのテロリストが保有する可能性だってある。つまり、核保有国は核を廃棄することが安全保障上重大なリスクとなってしまう。
皮肉にも、核兵器の脅威は、その核兵器自体がもつ抑止力によって抑えられており、核兵器によって世界のパワーバランスが保たれてしまっているといっても過言ではない。
核攻撃を回避する方法とは
核兵器廃絶は容易ではないことはおわかりいただけただろう。
核攻撃をイージス艦のようなミサイル迎撃システムで防ぐという方法もあるが、迎撃率は100%ではないし、飽和攻撃といって、一度に対処しきれない数のミサイルを撃たれたらどうしようもない。その上、核兵器の何十倍ものコストがかかる。
残念ながら、「核の抑止力」以外に有効な方法が存在しないのが現状だ。
もちろん、自国を守るためとはいえ、日本が核を保有すれば国際社会の中で孤立してしまうので現実的ではない。しかし、核の脅威にさらされ続けている以上、日本の核保有について議論していくことは必要だろう。憲法でも自衛のための核保有は否定していない。
保有ができなくても、非核三原則の「持たず 作らず 持ち込ませず」の、「持ち込ませず」を撤廃し、中距離弾道ミサイルを配備するだけでも大きな抑止力になる。もう非核二原則に見直す時期に来ているのではないだろうか。
それに加えて、核攻撃を受けた後のことも考えておく必要がある。日本は被爆国であるにもかかわらず、核シェルターの普及率は他の先進国に比べて著しく低い。
唯一の被爆国として、何をすべきなのか
「唯一の被爆国として、核兵器廃絶を・・・」というようなセリフを一度くらいは聞いたことがあるだろう。確かに、それができれば理想的だし、それを目指すこと自体は間違ってはいない。
しかし、まず第一に考えなければならないのは、広島・長崎の犠牲を無駄にしないために、どうすれば日本に対する核攻撃の危機を回避できるかということだ。
広島平和記念公園の慰霊碑にも書かれているように、あのような悲劇を二度と繰り返してはならない。