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財政危機の不安をあおるマスコミの報道
「日本は借金大国で、増税しないと財政破綻する」という報道を一度くらいは目にしたことがあるだろう。
実際、日本の借金の総額は約1200兆円で、国民一人あたりにすると約1000万円にもなる。(2020年3月末時点 財務省)
これから高齢化に伴い社会保障費などの支出が増えるので、なおさら増税はやむを得ないと考えている方も多いのではないだろうか。
日本は財政危機ではない
借金の額だけ聞くと、あたかも日本が財政危機に陥っているかのように錯覚してしまうが、財政状況を把握するには、負債と同時に資産なども見る必要がある。
多額の資産を持っている政府
財務省の賃借対照表(バランスシート)を見ると、2020年3月末時点で資産が681兆円もある。これらを全て返済に充てることはできないものの、単純計算で借金は592兆円と実質半分程度しかないということになる。
日銀の国債は政府の負債と相殺できる
日銀は政府の負債である国債を買うことで市場にお金を流通させている。その額は2020年度で約532兆円にもなる。(2020年度 日本銀行財務諸表)
日銀を政府の一部と考えれば、政府が政府に借金していることになり、国債を負債から相殺することができる。実質負債の592兆円から532兆円をひくと、実質政府の借金は60兆円しかないという計算になる。このまま国債が増えれば実質0円だ。
もちろん、日銀自体の負債もあるので単純に全て相殺してしまえる訳ではないが、2020年度の会計予算が約350兆円という規模であることから考えると、日本の財政に大きな問題はないということがわかるだろう。
外国からの借金はほとんどない
国の借金である国債は誰が買っているのだろうか。日銀はもちろんだが、残りのほとんどが日本国内の金融機関などだ。外国からの投資もあるが、それは7%程度に過ぎない。
金融機関には国民が預金しているので、国民が政府にお金を貸していることになる。つまり、ほとんどが日本国内でお金を回しているだけなので、それがある程度増えたとしても大きな問題にはならない。
国債は円建てで発行している限り財政破綻はしない
国債はすべて円建てで発行されているので、返済する時は円を発行すればいいだけの話である。つまり、円建てで発行している限り財政破綻などありえないのだ。
ギリシャが破綻した理由は、多くが外国からの借金で、通貨発行権がないユーロ建てだった事や、市場でのギリシャの信用度が低く金利が高かった事などが挙げられる。
日本の国債はとても人気が高く、超低金利であり、それだけ信頼されているということだ。よほどのことがない限り、政府がお金を借りられなくて困ることはないだろう。
なぜ国民を騙して増税するのか
日本が財政破綻する心配はないことはおわかりいただけただろう。では、なぜ国民を騙してまで財政破綻の不安を煽り、増税しようとするのだろうか。
そこには、天下り先を増やしたい官僚の思惑があることは否定できない。増税すればするほど特殊法人などの官僚の天下り先を増やすことができるからだ。
国の会計には一般会計とは別に特別会計というものが存在する。政府の裏の家計簿のようなものだ。一般会計の数倍の規模があり、資金の流れが複雑で監視の目が届きにくいという特徴がある。
その特別会計の中に巧みに予算を計上し、特殊法人などの団体に税金を流し、その団体に天下りして多額の報酬を受け取っているのが実態だ。その中には必要性の疑わしい団体や、活動実態が不透明な団体も多数存在する。
なぜ消費税を増税するのか
消費税は税金の中でも取りやすい税だ。消費税増税は大企業が得をする法人税減税とセットで行なわれており、財務省の官僚が大企業や業界団体へ天下りするシステムも出来上がっている。
私たち国民は増税せざるを得ないと思い込まされ、官僚の天下りのためにたくさんの税金を負担させられているということだ。
国民にとってデメリットしかない消費税
消費税を増税すると、消費が落ち込み、景気が悪くなることはご存知の方も多いだろう。
景気が悪くなれば、所得税や法人税といった税収が減ることになり、トータルの税収はたいして増えず、国民の負担だけが増えることになる。そしてその負担は低所得者ほど大きくなってしまう。景気が悪くなれば失業率が上がってしまうことも問題だ。
このように、消費税は国民にとってデメリットしかないのである。
報道などでは増大する社会保障費を賄うためには消費税を増税する必要があるとされているが、それなら天下りのための予算など、無駄な予算の削減を優先すべきではないだろうか。
問題だらけの軽減税率
増税に伴い低所得者対策として導入されたのが軽減税率だ。
しかし、高所得者が買う高級食材などにも適用されてしまうし、生活必需品である日用品や、ライフラインである電気・ガスなどには適用されないことから、全く低所得者対策になっていないのが実態だ。
それどころか、税率を分けることで事業者や従業員に多大な負担がのしかかり、経済・労働環境に悪影響を及ぼしてしまっている。
一方で、軽減税率が導入されたことにより、対象品目の選定をめぐる利権や、導入のために作られる新たな制度や補助金から利権や天下りが生まれている。
このように、消費税増税だけでなく、それに伴い導入された軽減税率も問題だらけなのである。
こうした問題だらけの軽減税率は、日本より先に導入されたヨーロッパ諸国では既に失敗と捉えて見直しが図られているが、簡単にやめることができず苦労しているというのに、それを一切無視して強引に導入してしまうのだから、あきれるばかりだ。
なぜ新聞が軽減税率なのか
新聞の軽減税率の適用に違和感を感じる方も多いのではないだろうか。
ネットなどで情報が得られる現代では生活必需品とまではいえないし、そもそも新聞を購読する経済的余裕すらない方もいるだろう。それにもかかわらず、なぜ新聞が対象になるのだろうか。
建前では様々な理由が挙げられているが、本音では増税の必要性をマスコミを利用して訴えたい官僚と、税金の負担を軽くしたい新聞の利害が一致していると考えるとつじつまが合うだろう。
公明党の支持母体である創価学会という宗教団体が聖教新聞という新聞を発行していることが背景にあることも否定できない。
余談だが、選挙の投票率が低いと、公明党のような特定の団体に支持母体を持つ政党の組織票の影響力が強くなり、その団体にとって都合のいい意見が通りやすくなり、政治が歪む要因になってしまう。
消費税増税を阻止するには
税金の無駄遣いの実態はおわかりいただけただろう。利権のことしか考えていない官僚や政治家が存在する限り、国民は搾取され続けることになる。
天下りのための予算など、無駄を削減するだけでかなりの予算が捻出できる。消費税を上げる議論をする前に、無駄を無くす議論を優先すべきだ。
予算は国会で審議されてはいるが、チェックが甘く、審議も形骸化しているので、政治がより厳しく監視し、より強く介入していく必要がある。
そのためには、より優れた政治家を選挙で選ぶことはもちろん、私たち国民がより強く声を上げる必要があるだろう。
国民のために利権にメスを入れようとする政治家は足を引っ張られやすく、マスコミからは非難される傾向にある。そういったマスコミの報道に振り回されないようにし、応援して支えていくことも重要だ。