日本医師会は開業医の利権を守る団体だった
日本医師会と聞くと、あたかも全ての医師を取りまとめる中立的な組織かのようにイメージしてしまうが、実際は医師全体の5割程度しか加入しておらず、幹部である役員のほとんどが開業医や民間病院の医師であり、開業医の利権を守るための圧力団体になっているのが実態だ。
この団体はかなりの力を持っており、自民党への多額の献金や、推薦する議員を政界に送り込むなどして、カネに物を言わせて政治を操り、多額の診療報酬が開業医に流れるシステムを作り上げている。
一部の開業医の無駄な検査や無駄な投薬により利益を上げている実態も指摘されている。平均年収も、勤務医は約1500万円に対し、開業医は約3000万円と2倍もの開きがある。
これらの医療費の一部は私たちが納めた税金も使われている。
コロナから逃げる民間病院
日本の病床は100万床以上あり、世界でもトップクラスだ。その上、感染者や重症者は他の主要な先進国に比べて著しく低い。にもかかわらず、なぜ医療逼迫を引き起こすのだろうか。
それは、開業医も含めたほとんどの民間病院が新型コロナの患者の受け入れを拒否しているからだ。受け入れない理由は様々あるが、「儲からない」ことが背景にあることは否めない。
新型コロナの患者を受け入れると、通常の患者が減ってしまい利益が少なくなる。経営が厳しい病院や、スペースの問題で受け入れが難しい病院はやむを得ないだろうが、受け入れる余裕があるにもかかわらず拒否している病院があるのも事実だ。
受け入れを強制する感染症法や特措法などの法律があり、それらを適用すべきなのだが、背後に日本医師会がいるためなのか、政治が思い切った政策を打てずにいるのが現状だ。
医師は開業医優遇制度等の公的制度により守られているのだから、医師が法律の規制により公的な制約を受けるのは当然の話だ。
もちろん、全ての民間病院が拒否しているわけではなく、ごく一部ではあるが、利益や危険を顧みず、患者を救う為に積極的にコロナに対応してくれている民間病院の医療関係者の方がいることも付け加えておく。
コロナ患者を受け入れる公立病院の勤務医の過酷な実態
新型コロナの患者を積極的に受け入れているのは日本の救急医療を担う公立病院だ。公立病院の勤務の過酷さは以前から指摘されていたが、新型コロナ患者の受け入れにより、さらに過酷なものとなっている。
一方で、開業医はコロナ患者の受け入れ義務はなく、開業医優遇制度により比較的楽に儲けることができる。
このような状況で公立病院の勤務医を目指す人が少ないのは当然のことであり、救急医療の現場はより厳しさを増すばかりだ。
日本の歪んだ医療の実態を変えるには
日本の病院の約8割は民間病院であり、政治介入しずらい仕組みになっているが、病院は警察や消防と同じ重要な公的機関と捉えて公的に管理されるべきものだ。医師や民間病院に対し、政治がより強い権限を行使し、国民のために適切に管理していく必要があるだろう。
金で政策を買うことができる政治献金が合法になっていることも問題だ。多額の献金により政治的影響力を行使している団体は日本医師会に限らず無数に存在する。合法的な賄賂である政治献金を禁止する法律を作るように、私たち国民が声を上げることも必要だ。
公立病院の比率を増やし、開業医の方が儲かるというシステムを変えない限り、日本の歪んだ医療の実態は変わらないだろう。